親が施設に入りたがらない。そんなとき、どうすればいい?

「そろそろ施設を考えてみない?」

そう話を切り出したら、「まだ大丈夫」「家にいたい」と言われてしまった。

心配だからこそ提案したのに、受け入れてもらえない。かといって、今の生活をこのまま続けることにも不安がある。

そんな経験はありませんか?

親のことを大切に思っているからこそ、どうすればいいのかわからなくなってしまう。施設を探すことよりも、親にどう話せばいいのか悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

今回は、親が施設への入居を嫌がるときに、少し立ち止まって考えたいことをご紹介します。

「施設には入りたくない」その言葉の裏にある気持ち

親が施設への入居を嫌がるとき、つい「どうしてわかってくれないの?」と思ってしまうこともあるかもしれません。

でも、少しだけ親の立場になって考えてみましょう。

長年暮らしてきた自宅を離れることは、私たちが想像する以上に大きな決断です。

住み慣れた家、いつもの食卓、近所の人との何気ない会話。そんな当たり前の日常が変わってしまうことに、不安を感じているのかもしれません。

「知らない人たちとうまくやっていけるかな」

「自分の好きなように生活できなくなるのでは?」

「子どもに迷惑をかけてしまっているのかな」

口では「入りたくない」と言っていても、その理由は人それぞれです。

だからこそ、まずは入居を説得することよりも、何が不安なのか、何を大切にしたいのかを聞いてみることから始めてみませんか?

いきなり答えを出さなくても大丈夫

施設への入居について話すとき、すぐに結論を出そうとすると、お互いに気持ちがすれ違ってしまうことがあります。

そんなときは、少し伝え方を変えてみるのもひとつの方法です。

例えば、

「施設に入ってほしい」ではなく、「これからも安心して暮らせる方法を一緒に考えたい」

「もう家で暮らすのは難しい」ではなく、「家で暮らし続けるために、どんな手助けがあったらいいかな?」

こんなふうに声をかけてみると、話し合いの雰囲気が少し変わるかもしれません。

もちろん、言い方を変えれば必ず納得してもらえるわけではありません。それでも、本人の気持ちを置き去りにせず、一緒に考えようとする姿勢は大切です。

一度の話し合いで決めようとせず、時間をかけて少しずつ話していくことも考えてみましょう。

「施設に入る」以外の選択肢も考えてみる

施設への入居を提案すると、本人が「自宅を離れたら、もう帰れない」と感じてしまうこともあります。

そんなときは、いきなり入居を決めるのではなく、今の暮らしを続けるために利用できるサービスについて調べてみるのもおすすめです。

例えば、訪問介護やデイサービス、ショートステイなど、在宅生活を支える方法もあります。

一方で、介護するご家族の負担が大きくなっている場合や、医療的な支援が必要な場合には、施設での暮らしが安心につながることもあります。

大切なのは、施設に入ることだけをゴールにしないこと。

自宅での生活を続ける方法も含めて、それぞれの状況に合った選択肢を考えることです。

ケアマネジャーや地域包括支援センターなどに相談し、利用できるサービスや支援について一緒に整理してみましょう。

施設を見てみたら、イメージが変わることも

「施設」と聞くと、どんな場所を思い浮かべますか?

人によっては、自由がなくなる場所、家族と離れて暮らす寂しい場所というイメージがあるかもしれません。

でも、施設によって雰囲気や設備、日々の過ごし方はさまざまです。

食事を楽しんだり、趣味の時間を過ごしたり、ほかの入居者やスタッフと交流したり。自分に合った環境が見つかれば、新しい楽しみが生まれることもあります。

もし本人が受け入れられそうであれば、まずは一緒に施設の情報を見たり、見学に行ったりすることから始めてみてはいかがでしょうか。

見学するときは、費用や介護体制だけでなく、本人が落ち着いて過ごせそうか、好きなことを続けられそうか、といった点にも注目してみてください。

ただし、本人が強く拒否している場合は、無理に見学へ連れていくのではなく、何が嫌なのかを聞きながら、少しずつ検討していくことが大切です。

家族だけで抱え込まないでください

親に安心して暮らしてほしい。

でも、自分の生活も大切にしたい。

そんな気持ちの間で揺れ動くことは、決しておかしなことではありません。

介護を続けていると、「もっと頑張らなければ」と自分を追い込んでしまうこともあるでしょう。

けれど、家族だけですべてを背負う必要はありません。

ケアマネジャーや医療機関の相談窓口、地域包括支援センターなど、頼れる相手に今の悩みを話してみてください。

第三者が間に入ることで、本人も家族も落ち着いて話し合える場合があります。

また、本人の判断能力や健康状態、差し迫った安全上の問題によっては、専門職と早めに対応を考えることも必要です。

ご本人の思いを大切にしながら、家族も無理なく暮らし続けられる方法を探していきましょう。

正解はひとつじゃない。だからこそ、一緒に考えていきたい

親が施設に入りたがらないとき、すぐに納得してもらうことは難しいかもしれません。

何度話しても答えが出ず、どうしたらいいのかわからなくなることもあると思います。

そんなときは、少しずつで大丈夫です。

まずは本人の気持ちを聞くこと。

そして、自宅で暮らし続ける方法も、施設で新しい生活を始める方法も、一緒に考えてみること。

大切なのは、誰か一人が我慢し続けることではなく、ご本人もご家族も安心できる暮らしを見つけていくことです。

私たちも、施設探しに関する不安や悩みに寄り添いながら、一人ひとりに合った選択肢を考えるお手伝いをしていきたいと思っています。

「まだ施設に入ると決めたわけではないけれど、少し話を聞いてみたい」

そんな段階でも、ひとりで悩まず、ぜひ周囲の専門職や相談窓口を頼ってみてください。

これからの暮らしを、焦らず、一緒に考えていきましょう。